夏の散歩は危ない!
日本の真夏は、昔より随分あつくなりました。
そして、ワンちゃんが歩くアスファルトは、
私たちが感じている以上の温度になっています。
気温が30度であれば、アスファルトの温度は55~60度。
人間が感じる体温より、はるかに高いのです。
私たち人間は、暑いと汗とかくことができますが、
ワンちゃんは足の裏でしか、汗をかけません。
というのは、犬が放熱できる場所は、足の裏と口しかないからです。
そして、散歩の時、足の裏は地面についています。
そうなると、基本的に口からの呼吸による放熱しかありません。
口をあけてハァハァと苦しそうなに息をしているのは、そのためです。
梅雨明け後~9月中旬の2ヶ月の期間は、愛犬にとっても、
もっとも危険な季節といえるでしょう。
この頃、熱中症にかかるワンちゃんがとても多いのです。
熱中症は、その季節に一度でもなると、その年の耐性がとても低くなってしまします。
一度熱中症となり、体温が41.5度以上になると、犬の全身の細胞
(筋肉、内臓などすべて)が、「熱壊死」し始めます。
熱により、体の中のたんぱく質が変質して、
立体構造が崩れ、全身の細胞が死滅しだすのです。
ですから、一旦熱が下がったとしても、回復したわけじゃありません。
そのため、熱中症になった1ヶ月後くらいに、
亡くなってしまうワンちゃんが意外に多く、
慢性的な2度目、3度目の熱中症や体調不良で亡くなる、ということが起きるのです。
ですから、一度、熱中症になったら、その夏が過ぎるまで、
(具体的には最高気温が25度以下になるまで)
エアコンをつけて室温を25度以下にし、安静にします。
そうしないと、命の危険があるからです。
隠れ熱中症が一番怖い
隠れ熱中症は夏バテと勘違いされ,見過ごし安い厄介な病気です。
「食欲がなく元気もないどうしたんだろう夏バテかな?」
こういう何気ない会話はとても多いと思います。
愛犬の元気がなく食欲がないことは割と頻繁に起こるので
いつものように考えがちですが、それが隠れ熱中症の場合は、
話が別です。
命の危険があるからです。
これは人においても同じです。
人間でも、熱中症と診断され治療される人は年間に
30から40万人、救急車で運ばれる人は毎年4から5万人くらいです。
その理由は、 大きな自覚症状がないまま深刻なレベルに病状が進んでしまうからです。
自覚症状があまりなく、危険を感じられないまま命の危機にさらされたり、
後遺症が残るという恐れがあるのです。
風邪インフルエンザで体温が四十度になって、放置する人はいないはずです。
しかしこれが熱中症では四十度の太陽になっても知らずに過ごす、
ということが起きています。
犬よりもはるかに耐熱性に優れた人間が、自分自身のことでも見落としがちな病気が熱中症です。
高温にとても弱い愛犬については、どれほど心配すればいいかを想像いただけるかと思います。
そして愛犬は、人という飼い主が高温を除去してあげなければ自分で防ぐ方法がないのです。
いつのまにか深刻なレベルになってしまうと言う、危険を感じられないことは問題の核心です。
夏に愛犬が食欲を失った時、よく食べるフードに変えたり、
トッピングして食欲をそそる嘔吐する前に、隠れ熱中症を確認する癖をつけてください。
隠れ熱中症の確認ポイント
春まで食欲のあった子が夏場に食欲がなくなる(水ぐらいしか飲まない)
- 散歩が好きな子が、散歩を喜ばない、散歩に行こうとしない
- 家の中でぐったり静かにしている時間が長い
- フローリングの上や玄関などいつもと違う場所で、お腹をべったり床につけている
- 喜んで急いで駆け寄ってくることがなくなった
などが梅雨頃から秋口にかけて起きたら注意が必要です。
他の疾患も考慮する必要がありますのでご注意ください。
吐いたり下痢をしたり、ふらふらしたり、ひどく元気なない状態がプラスされた場合は、
特に注意が必要です。
洋犬の方が熱中症に強い?
同じ兄弟姉妹でも、熱中症への強さ弱さは異なります。
これはパピヨンなのでもはっきり分かれます。
パピヨンはレースのパピヨンに、チワワとスピッツを交配して作られました。
チワワの体質を引き継いだ子は夏に強くて冬に弱く、
スピッツの体質を受け継いだ子は夏に弱く冬に強いのです。
そのため同じ親の兄弟姉妹でも遺伝の違いにより、
暑さに強い子と弱い子が生まれます。
犬種の大半はヨーロッパにルーツを持ちます。
そのため暑さに弱い犬種が大半を占めます。
イギリスの最高気温が22~23度なのに比べ、日本の最高気温は33度程度です。
日本はイギリス、フラン、ドイツなどのヨーロッパより、
10度ほども気温が高いのです。
私の実家は、犬の飼育にはかなり慣れた家庭でしたが、
熱中症の3週間後に突然死させています。
これはそれまで日本県を何台もシークしていたため、
洋犬の熱中症のダメージの大きさを読み謝ったというのが理由です。
秋田犬などの日本犬は暑さにも強いですし、地面に穴を掘り20度ぐらいの
へこんだ冷えた土ベッドを作り、そこで体を冷やしながら夏を過ごす知恵が身についています。
このような日本犬には備わった本能が、洋犬にはあまり見られない感じがします。
愛犬のための熱中症緊急処置
危ないと感じたら次のケアをして動物病院で治療してもらってください。
繰り返しますが一度熱中症になったら、
その年は最高気温が25度以下になるまで安静にします。
- 濡れタオルを体にかけて熱をとる
- 脇の下と足の内側に氷をタオルに巻いたものを当てて血液を冷やす
- 水をかけて熱をとる
- エアコンをつけて部屋を冷やす
エアコンと散髪
夏はエアコンをつけて、25°以下で涼しく過ごすことがおすすめですが、
エアコンの常時使用に抵抗のある飼い主さんは、梅雨に入ったら、
愛犬の毛をバッサリバリカンで短くするサマーカットが役立ちます。
そうすると床に体温を逃すことができますし、
気温が下がる夜の間に体力の回復が測れる場合が多いのです。
散歩ができなくて、家の中に閉じこもってストレスが溜まるなら、
車で連れ出してあげましょう。
ドライブ好きのワンちゃんは多く、過ぎてゆく景色を眺めるだけでも、
十分にストレスを解消することができます。
ただくれぐれも車内に愛犬を放置しないように注意して下さい。
犬を丈夫にする15分トレーニング
春になる前に走り込みをスタート
ちょっとした対策で真夏の暑さを乗り切ることができます。
それは思いっきり走らせることです。
2月頃、まだ寒い時期からできるだけ強めの運動をさせると、
ヒートショックプロテインと言う、熱から体を守ってくれる、
特別なタンパク質が体内で作られます。
これは細胞が暑さなどのストレスにさらされた時に、
細胞を保護するタンパク質です。
熱から体を守ってくれる、ヒートショックプロテインは、
熱によって作られます。
走って体内の温度を上げることで、このプロテインが体内で作られるのです。
このような体の機序に関しては、人間も犬も同じです。
実際スポーツ選手の中ではよく知られていることで、
冬に走り込みをする選手が多いのはそのためです。
通常体温が41点5度以上になると細胞へのダメージが始まります。
タンパク質の立体構造が崩れてしまい、それが熱中症につながります。
この時に、ヒートショックプロテインがあれば、体を守ることができるのです。
体の熱を一気に上げるヒートショックプロテイン法
15分でいいので思いっきり走るトレーニングをさせましょう。
2月を過ぎてしまったとしても、熱くなる一週間ほど前から行うだけでも、
随分と違いが出ます。
ポイントは、家を冷やしておくこと。
家に帰ったわんちゃんが、すぐに涼しい所で過ごせるように準備をしておいてください。
ヒートショックプロテインを作るためには、体の熱を一気に上げる必要があります。
そのためだらだらと長く走るのではなく、思いっきり走ることが大切です。